『ラストクリスマス』

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外に出るとチラチラと雪が舞っていた 「わぁー、ホワイトクリスマスだ」 満面の笑みで空を見上げてはしゃぐ 「風蓮、そんなに走ると危ないよ」 パタパタと走る風蓮の腕を掴んで引き寄せる 「…わっ」 「ちゃんと掴んでいろよ?街は混んでるだろうから」 手を繋いで道を歩いた 外は身震いするくらい寒いのに繋いだ手は熱いくらいだった バスを降りて、人混みを辿るようにして目的地へと向かう その間も決して繋いだ手は離さないでいた ふいに横を歩く椿の横顔を見上げて近くにいることを瞳で感じる 寒さのせいで耳と頬が赤くなってる はぁ、と吐く息は白く空に浮かぶ ………永遠なんて……… どこにもないことわかってるけど…… あったらいいなぁ……… 焼き付けるように椿の横顔を何度も見つめた
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