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千里は輪の中に戻ると空いていた風蓮の隣に腰掛けた
座った瞬間、パチと風蓮と視線が合った
じぃっと見つめてくる風蓮に千里は皮肉を言ってみる
「見つめる相手間違ってんじゃない?」
「なっ…!」
カッと頬を赤くする風蓮の反応を横目で楽しんだ
その時、見つけてしまった
風蓮の胸元に光るネックレス
聞かなくてもわかる
それは椿からの贈り物
「………」
嫌な感情が芽生える
………嫉妬………
それを顔に、声に出さないようにとさらにお酒を喉に通した
「あっ、千里!」
グイっと飲み干した千里を見て斜め向かいに座っていた椿が声を出す
「お前っ、また二日酔いになっても知らないからな!」
「明日は休みだからいーの」
椿の注意をスルリと無視して新しいお酒をマスターに注文する
「ったく…」
はぁとため息をついて呆れる椿の横で竹瑠がふふ、と笑った
「何、竹瑠?」
「いや、可愛いなと思って」
「誰が?」
「千里」
竹瑠の言葉に千里がむせた
「っげほっ…!」
「千里??」
「何言っ…お前…っ!」
焦る千里に竹瑠は変わらず涼しい笑顔を向けていた
「………くそ…」
適わない、と心で思った
見透かされてしまう自分が恥ずかしくて堪らない
僅かなことで嫉妬している女々しい自分なんて見られたくないのに
竹瑠には嘘はつけない
意味がわからないと首を傾げる椿に、少しは頭を分けてやってくれと本気で思った
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