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クラウスは、起きあがらない少女に、どうすればいいのか解らず、途方に暮れていた。
「よく見ると、綺麗な子だなぁ。けど、どうしよう」
遠くから、誰かを呼ぶ声がして、その声は、近付いてきた。
あれ?俺と同じ子供!?
「ロゼ!こんな所に、来てたんだね。随分探したよ」
「うふふ、アハハ」
ロゼと呼ばれた少女は、楽しそうに笑った。
「この子、お前の知り合いなんだ?どうして、ずっと、笑ってるの?」
少年は、栗色の髪と、同じ色の瞳をしていた。賢そうな感
じの、子供だった。
「ロゼが、気になるんだね。彼女は天使なんだよ」
「今、なんて言ったの?」
ロゼの腕を掴んで立たせ、少年は、もと来た方に進んでクラウスを見た。
「僕は、ロアーシュ村の村長の息子、ピエールだ。君は、魔法使いと一緒に暮らしてる子だろ?ロゼは、ロアーシュ村に降りて来た、天使なんだ」
それだけ言うと、ピエールは、ロゼを連れて帰って行った。
これが、クラウスとピエールの運命の出会いだった。
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