31人が本棚に入れています
本棚に追加
クラウスは、忘れた薬草を取りに、丘へ向かった。
「はぁ……。俺って、何かに夢中になると、他のこと忘れちゃうんだよなぁ」
ブツブツと、独り言を呟きながら歩いていると、二人の若い魔法使いとすれ違った。
「シャルルみたいな杖持ってる。多分、魔法使いだよな。けど、あの人達、どこかで見たことがあるような?」
クラウスは、じっと、後ろ姿を見送った。
銀色の魔法使いの家――――。
「シャルル、こんな村に住み着いていたとはな」
「オーギュスト!?何故、ここがわかった」
オーギュストは、線の細いスラリとした男で、肩まである金髪の巻き毛と、深い海を映したような瞳をしていた。
シャルルは、普段の穏やかな表情は消え、突き刺すような鋭い眼で睨み付ける。
「グラード国の大魔法使い、“深紅のエドワード”が我々の魔法協会の力を、必要としている。そこで、お前の絶大な魔力が欲しいのだ」
穏やかに、オーギュストは言った。
「敵国につくなど、何を企んでる?ちゃんと答えろ!オーギュスト!」
シャルルは、声を荒げた。
最初のコメントを投稿しよう!