闇のはじまり

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   クラウスは、忘れた薬草を取りに、丘へ向かった。    「はぁ……。俺って、何かに夢中になると、他のこと忘れちゃうんだよなぁ」     ブツブツと、独り言を呟きながら歩いていると、二人の若い魔法使いとすれ違った。     「シャルルみたいな杖持ってる。多分、魔法使いだよな。けど、あの人達、どこかで見たことがあるような?」     クラウスは、じっと、後ろ姿を見送った。     銀色の魔法使いの家――――。  「シャルル、こんな村に住み着いていたとはな」    「オーギュスト!?何故、ここがわかった」     オーギュストは、線の細いスラリとした男で、肩まである金髪の巻き毛と、深い海を映したような瞳をしていた。    シャルルは、普段の穏やかな表情は消え、突き刺すような鋭い眼で睨み付ける。     「グラード国の大魔法使い、“深紅のエドワード”が我々の魔法協会の力を、必要としている。そこで、お前の絶大な魔力が欲しいのだ」      穏やかに、オーギュストは言った。      「敵国につくなど、何を企んでる?ちゃんと答えろ!オーギュスト!」     シャルルは、声を荒げた。    
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