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“古城の森”の中、木漏れ日が揺れる。鳥が囀り、何だかわからない、獣の声が木霊していた。
クラウスは、口を縛った麻の袋を、右肩に掛け、2種類の薬草を探しに、一人来ていた。
(なんで見付けられないの?)
シャルルと一緒に、前にも何度か、この薬草を取りに来ていたのに、見付けられなくて、イライラしてきた。
「クソッ!なんでないんだよ!」
「うふふ……うふふ」
枝がポキッと、折れる音がして、振り向くと、一人の少女が、笑っていた。少女は、ワンピース姿に裸足で、全体的に薄汚れている。金髪は短く、蜘蛛の巣、藁、枯れ木などがついていた。
「えっ!?」
少女は、足を一歩踏み出した時、ズルッと滑って、後ろに、ひっくり返った。
「大丈夫?」
覗き込むと、さっきと同じ様に、笑っていた。
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