十二人十二色。

睦月 ～期待～

振り袖は決まった。出費は痛かったどころが激痛だったが、良いものが選べた。

魅力的な女に必要なもの。
次に私がしたのは、ＨＯＷ ＴＯ本を読み漁ることだった。

やっぱり振る舞いは重要だ。いくらキメても、パーティーでピザを犬食いしてたら、百年の恋も冷めるでしょう？

「恋が上手くいく五十の方法」
「小悪魔養成本」
「これであなたもハリウッドセレブ」

こんな様な本をしこたま買い込み、お会計は諭吉三枚分にもなってしまった。

本屋のレジのお兄さんが、憐れみの目で私を見てくるけど関係ない。これで女が磨かれるならば、今は人目なんて気にしない。

リュックにも手提げにもＨＯＷ ＴＯ本を入れ、街中を歩きながらもＨＯＷ ＴＯ本を読む。さながら平成の二宮金次郎だ。
これだけ勤勉ならば、失敗する訳ないじゃない。

書いてある内容は、分かるようで分かんないけど、私は折角買ったこのバイブル達を、御守りの様に持ち歩いた。

お陰で酷い肩こりだけど、それはきっと、頑張った私の勲章だ。