第三章 疑惑

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 誰も入って来れない様に部屋に鍵をかけ、ベッドに横になってから眠りに就くのにはそう時間はかかりませんでした。  なんだか不気味で可笑しな夢を見ました。  母が涙を流しながら狂った様に笑っていて、手に持った鋏で牡丹の花を切っています。  切られた牡丹の花は、花ごと散っていきます。 それを見た私は、あぁそれで花ごと落ちるのかと、変に納得させられました。 母の傍らには、誰かが血を流して倒れています。 男の人の様ですが、うつ伏せで顔は彼方を向けているので、誰なのかは解りません。 突然母がくるりと私の方を向き、 「泥棒猫!人殺し!」 と叫んだところで、目が覚めました。
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