第三章 疑惑

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 母は一瞬驚いた顔で私を見て慌てて男から体を離しました。 「朔夜、目が覚めたの?」 なんて、平静を装って私を見上げながら話しかけてくるけど、動揺しているのが手にとる様に分かります。 「朔夜ちゃん、こんばんは。」  男の方は悪怯れる様子もなく笑顔で私に挨拶してきました。  彼は容姿の美しさも然る事ながら、手の早さでも有名な人なので、別に誰といちゃついたり口説いたりしている所を見ても今更驚いたりなどしません。 「獅童さん、こんばんは。」  私は笑顔で、彼に返しました。
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