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「あれ?今日はちゃんと挨拶してくれるんだね、嬉しいな~。」
「…二人で楽しそうに、何の話をしていたの?」
私は彼の皮肉など無視して、そう切り出しました。
「べっ…別にそんな大した話をしていた訳じゃないのよ?ただの世間話だとか…」
「再婚しないのかって、君のお母さんに聞いてただけだよ。」
母が返事を濁すのを邪魔するかの様に、彼が母の話を遮りました。
「だってこんなに綺麗なのに勿体ないだろ?行方不明の旦那を待ち続けて、ずっと独りで居るなんてさ。」
それを聞いた途端、母が血相を変えて、止めに入りました。
「ちょっと!その話は朔夜に聞かせちゃ駄目って…!」
……旦那?
行方不明の旦那を待ち続けてる?
旦那とはつまり、母の配偶者に当たる人で…それはつまり……?
どうしてだろう、頭が痺れた様になって働かない。
私はもう窓の外には目もくれず、再び部屋の奥へと引っ込みました。
何故だか解らないのですが、急に体が気だるくなってきて気分が沈み出しました。
私は何も考えたくなくて、再び眠りに就きました。
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