第三章 疑惑

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 私は再び夢を見ました。  牡丹の花びらがはらはらと舞い散ります。  私は、そんなのおかしいと思いました。  牡丹は花ごと散る花のはずです。  そんな風に思った途端、花びらは形を変えて、花になりました。  花びらではなく花ごと落ちて…沢山沢山落ちてきて…まるで何かを隠す様に……どんなに目をこらしてみても、それが何かは解らないのですが……。  …だけど、解らないのに、何故か酷く胸が傷むのです。  もうこんなのは厭だから、思い出したくなんてないから、だからこのまま隠しておいて……。  ……思い出したくないって、一体何を?  解らない解らない解らない……。  ……牡丹の花は、本当にこんな散り方をする花だった?  知りたくない知りたくない知りたくない知りたくない………。
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