第一章 嫌いな花

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「まるで恋に似てると思わない?」  男がそう尋ねてくるけど、私は返事なんてしません。  兎に角早く、帰って欲しい…。  私が無言なのにも関わらず、男は尚も話を続けます。 「余りに人を好きになり過ぎると、その重みに耐え兼ねて、相手だけでなく、我が身を滅ぼす事にも成りかねない。」  男は言いながら、花を残酷にもその手でグシャグシャと、なんの躊躇いもなく握り潰しました。  私は恐怖に震える体を必死に抑えて、気付かれない様に、真っ直ぐ彼を見据えているけど…。  怖い、怖い、怖い……。  どんなに打ち消そうとしても、そんな思いが私をジワジワ支配していく……。
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