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「ったく!どれだけ居るんだよ?!」
森の中でトロール達に囲まれた私はつい、そう叫んでしまった。
何度も強力な魔法を使い、何体ものトロールを気絶させていたが、まだ沢山のトロールが私の周りに居た。
魔力を使い果たし、体力も残り少なかった。
一体のトロールが棍棒を振り回し、こちらに来た。
私にはそれを躱す力は残っては居なかった。
"……もう殺られるな…"
そう思い、眼を閉じた。
その時…
「雷よ、忌わしき者達を消滅[ケ]せ……
ヴァジュラっ!」
雷属性、最高レベルのヴァジュラの呪文が静かな森の中に轟く。
「グア…?」
少し惚けた様なトロールの声の後、"ドッカーン!"という音がした。
そして、ドタドタとトロール達が倒れて行く音……
すると、ある樹から1人の男が飛び下りて来た。
私は言う事を聞かない躰を無理やり動かし、その人の所まで行った。
「危ない所を助けて頂き、有り難う御座いました。」
私はそう言うと、頭を下げた。
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