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「いや。良いんですよ…
……貴女はどちらまで行かれるんですか…?」
行き先なんて、考えた事も無かった。
「どこまでだろう…?
事実が見つかるまで…
かな……?」
そう言うと、その人は少し微笑んだ様に見えた。
「…俺と一緒に来ないか?
俺の名はサンラス。君は…?」
「……分からない。昔、名を貰ったのに、その名も忘れてしまった…」
私がそう言うと、サンラスと名乗った男性は、少し考える様な素振りを見せると、口を開いた。
「ヒスイ…はどうだ…?
もういない妹の名だ…」
妹さんの…名?
「そんな、大切な名…
貰っても……」
「いや。良いんだ。
何故か、良く似ている気がするんだ……
妹の…雰囲気に……」
「そうなんですか……?
…私は…ヒスイ……
本当に有り難う…
サンラスさん…」
私は出来る限りの笑顔を造った。
「サンラスで良いよ。俺は…
怪我を治そうか…?」
「ハイ…ありがとございます。」
私はそう言うと、近くの樹に凭れて座った。
サンラスは私の元に来て、治癒魔法を使ってくれた。
かすり傷がみるみる治って行く。
体力も少しずつだか回復していく様だった。
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