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飛鳥をひとしきり撫でた俺は着ていた制服をハンガーに引っ掛け、風呂場の洗濯機に洗いものを入れてから風呂に入った。
そこで唐突に気づいた。
「飛鳥にプレゼント渡すの忘れてた…」
俺とした事が、なんてこった。
俺は体をボディソープで素早く洗い、髪をシャンプーで洗った。
途中、目に三回ほどシャンプーが入ったが気にはしない。
パジャマに着替え風呂場からリビングに向かった。
リビングに着くもそこに飛鳥の姿はなかった。
一足遅かったか…!
なので、急いで飛鳥の部屋に向かった。
「飛鳥あぁぁ!」
部屋のドアを思いっ切り開くとそこには天使の姿が。
「ひゃう!どうしたの、お兄ちゃん?」
飛鳥は俺の登場とともに何かを後ろに隠した。
ま、まさか彼氏からのプレゼントか!?
泣いちゃうぞ、俺は!!
「ちょっ、飛鳥…後ろに隠したの見せてくれるか?」
恐る恐る俺は飛鳥に聞いたが…
「ダメ!」
飛鳥が必死に後ろにある物を守るように身を縮める。
ガーン…!
ショック死しそうだ。
そこまでの物なのか。
「お願い、飛鳥」
再び頼むも…
「むぅ、これはお兄ちゃんでもダメなんだよ」
再びガーン!
はは、やっぱ彼氏ができたんだ。
お兄ちゃんはもういらないんだ…
「ごめんな、飛鳥。彼氏と仲良くしろよ…」
とぼとぼとこの場から立ち去ろうとした時、急に飛鳥に腕を捕まれた。
「なにを勘違いしてるの?飛鳥が隠したのは日記だよ?」
そう言うと飛鳥は可愛らしいウサギがプリントされたノートを見せてきた。
「日記…?」
俺は呆然としながらもそのノートを手に取りパラパラと確認していく。
女の子特有の上手い字で一日一日の出来事が事細かに書かれていた。
その中の一番新しいページを見る。
『今日は大好きなお兄ちゃんが飛鳥の誕生日を祝ってくれました。
とっても嬉しかったです。
お父さんとお母さんが祝ってくれなかったのは残念だったけどお兄ちゃんがいたから嬉しかった。
お兄ちゃんからプレゼントを貰えなかったのが残念でした…』
この娘はなんて可愛いんだろう。
大好きなお兄ちゃんだってさ。
羨ましいだろう。
これが妹というものの最終進化体だ!
わっははははははは!
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