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水が一瞬で蒸発しそうな猛暑の中、俺は青陵高校のグラウンドに居た。
なぜかって?
今日は体育祭当日だからだよ。
ふぅ、しかしあのメッセージカードには色々と助けられたぜ。
アレを祥子の前にちらつかせれば祥子の暴走はおさまるし、くまのぬいぐるみの写メを愁に見せれば奴は進んで仕事をやってくれた。
だから、俺は体育祭の作業で今回は苦労する事は一度もなかった。
愛さんに『人の扱いに慣れてきたわね、コウ君』なんて言われちゃったよ。
まぁ、なんだかんだで作業も滞りなく進み当日を迎えたわけだ。
あぁ、それにしても暑い。
よくわからんが俺は大量の種目に出ることになった。
確か50m走を始めてとして500mリレー、借り物競争、最後は生徒会リレー。
クラス対抗を除けば俺が出る種目はこの4つだ。
最後のは何かって?
生徒会が主催者となったため名はこうだが、簡単に言ってしまえば部活対抗リレーだ。
だるいなぁ、正直。
暑いし、喉渇いたもん。
すっかり怠け者モードに入っていると髪がツンツンの見るからにバカそうな奴が俺の目の前に現れた。
「霧生かっ!?」
暑いというのにこの男はうるさいなぁ、ドアホ。
つか、うざい。こいつ、誰だよ。
「愛さんとはどうゆう関係なんだ?」
はい、いきなりです。
突然、そんなこと言われてもこっちが困るのだが。
「はぁ?どうゆう関係って言われてもなぁ。生徒会仲間かな?」
「そうか。…あくまでシラをきる気だな?」
バカが俯きながら呟く。
「はい?」
意味分からん。
俺、嘘は言ってないぞ?
「正直に話せ!お前は愛のなんなんだ!」
怒鳴んなよ。
しかも愛さんの事、呼び捨てにしたよ。
俺でも出来ないのに。
愛さんの彼氏……ではないな。
絶対にこいつは愛さんの彼氏ではない。
断言できる。
ん?待てよ。
本当の愛さんと俺の関係…
ドSな愛さんに虐められる俺。
つまり俺がドMだと?
つまりコイツはそう言いたいのだな?
「てめぇ、個人種目は何に出る?」
怠け者モードから一気に真面目モードに切り替え。
バカな奴にバカにされるとは、いくら俺でも許せねぇなぁ。
「恋の勝負ってわけか!いいぜ、俺は50m走だ!」
なんか変な勘違いをしているがほっとこう。
「ほほぅ、じゃあ今から副会長権限でお前と勝負できるように組んでくるからな」
コイツはなんとしてもぶっ潰したい。
いや、個人的に。
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