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「今年の体育祭はより良いものにするのよ!」
生徒会室で大声をあげたのは我が青陵高校の二年生にして現生徒会長の高見 祥子。
そして祥子のそんな言葉に呆れるのは清陵高校二年生、現副会長の俺、霧生 宏輔。
ちなみにため息のオマケ付きだ。
祥子は俺の幼なじみで、見てわかる通り今でも仲は良いと言っていいだろう。
祥子の髪は綺麗な黒で、後ろ髪をひとまとめにしてポニーテールにしている。
スタイルもそこそこ良く、綺麗か可愛いかと聞かれたら迷わず可愛いと答える顔をしている。
そんな彼女は俺の初恋の人であったが、今ではこいつに振り回され過ぎててよく分からない。
幼い頃の過ちってやつだな。
今では友達以上、恋人未満という感じだろう。
別に色恋沙汰に興味はないってわけでもないが柄に合わないからな。
「より良いねぇ…毎回、同じことやれば大低は楽しいだろ」
生徒会室の奴らは沈黙を続けて誰も祥子の暴走を止めようとしないので、いつもの通り俺が宥めてやる事にしよう。
ちなみに、仲が良いからとか、好きだからという理由があるからするわけじゃない。
それとこれとは話が別。
「同じことを毎回やってたら我が校は落ちぶれてしまうわ!たまにはオリジナリティも必要なのよ!」
祥子は自慢らしい胸を張って主張する。
俺はまたも困ったようにため息を漏らす。本来は書記である俺や祥子と同じ二年生の鳴瀬 愛が止めに入るはずなのだが今回はそれがないからだ。
愛さんがしない場合は俺が祥子の相手、という暗黙の了解がここには存在する。
「じゃあ、祥子はなにか案があるのか?」
「うっ!それはまだ決めてないわよ!」
俺から逃げるように視線を逸らす祥子。
具体的な案が決まってないのに提案する祥子には困ったもんだ。
高校生になって祥子の体型はみるみる成長しているというのに心は退化しているみたいだ。
「あら。なら今、決めればいいじゃない」
隣で椅子に座っている愛さんがくすっと微笑みながら俺に言う。
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