俺の妹。

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愛さんは雑誌やドラマなどで見るアイドルなどより断然、綺麗な顔立ちにスタイルをしている。 私はアイドルよ、なんで言われたら迷わず信じてサインをせがみそうだ。 その長い綺麗な黒髪といい、メリハリのあるスタイルといい、やっぱりこの人は綺麗だ。 だが、綺麗だからといって許されることと許されないことがある。 愛さんは、この状況を楽しんでるな。 「じゃあ、愛さんはなんかあるんすか?」 「いいえ、無いわ」 愛さんは手を胸の辺りで振りながら自信ありげに否定する。 これでいよいよ祥子の暴走は止まらなくなったぞ。 俺はもう勝手にやってくれと言わんばかりに席を立つ。 「じゃあ、俺は先に帰る」 帰宅しようと右手を頭上で振りながら生徒会室のドアノブを余った左手で握る。 触らぬ神に祟り無し、だ。 「待ちなさい!まだ体育祭をどうするか決まってないでしょ!」 俺はドアを開ける寸前でその動きが止まった。 どうやら祥子に襟を捕まれて引っ張られているようだ… 苦しいんだな、これが。 「じゃあさ、一年の奴らに決めさせれば良くね?」 俺は我ながら良い案を出したと思ったのだが一年生の俺と同じ副会長の梨羽 愁と同じく一年生の会計、雨谷遥が不満あり気に立ち上がった。 愁はとにかくイケメンだ。 インテリを思わせるその風貌は誰もが羨む顔だ。 だが性格は悪く、俺とは口喧嘩が絶えることはない。 遥は可愛い。淡い茶色い髪をショートカットにしていてちっこくてとにかく可愛い。 いわゆる守りたくなる娘ってやつだな。 「霧生先輩、私は会計ですよ!?関係ないじゃないですか!」 「んじゃ、副会長の愁でいいや」 まぁ、遥に祥子の相手をさせる気は毛頭ない。 狙いは愁だ。 日頃の恨み、晴らしてくれる! 「霧生先輩も副会長でしょうが!」 だが、愁ももちろん反論する。 まぁ、その反論には文句の付け所がないんだがな。 「いいや、俺は先輩として後輩に仕事の大変さを教えてあげようかと」 だが、ここで諦めては俺一人が苦労するはめになるのだ。 諦めるわけにはいかない。 「遠慮しときます!僕も他の仕事で大変なんですよ!」 だが、愁もなかなか諦めてはくれないようだ。 「ははは、まっさかぁ~、そんなんで大変なんて言ってたら副会長は勤まらんぞぉ」  
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