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「いいですよ、僕の第一希望は会計だったんですから」
くそぉ、今日は麗しの天使の誕生日だというのに!
心の中で俺は叫ぶ。
そう、今の時刻は6時過ぎ。
なぜこんな時間に校内に居るかって?
祥子がわがままを言ったからに決まってるじゃないか。
「しかも霧生先輩も最近は仕事が少なくなってきたじゃないですか!」
「いやいや、俺は仕事を簡単にこなしちゃうからな、少なくみえるだけだよ」
「「「…」」」
あ、やばい。墓穴掘った。
愁の口元がニヤリと歪む。
「霧生先輩…今、簡単って言いましたよね?」
「いやぁ、今日もいい天気だなぁ」
話を逸らすために言ったのだが残念ながら今の天候は雲100%の曇りだ。
「「「…」」」
生徒会の祥子を除く全員が、お前がわがまま娘の相手をしろっと目で語っている。
酷いな、こんちくしょう…特に愛さんなんて自分がけしかけたのに。
「わかったよ、やりゃあいいんでしょ、やりゃあ!」
半場ヤケクソ気味に席に着き、わがまま娘を見つめる。
「なに?」
祥子は顔を赤く染めながら俺を見る。
くそぉ、可愛いなぁ…!
「おっし、じゃあまず…」
俺は深呼吸をして心を落ち着ける。
生徒会のみんなが俺を見る。
「今日は遅いので帰りましょう!」
「「「…えっ?」」」
生徒会の奴らから素っ頓狂な声が漏れる。
ふふふ、どうだ皆!
心の中で盛大にズッコケているだろう!
「ちょ、なに言ってんのよ!まだ決まってないでしょ!」
案の定、祥子が反論してきた。
だが、今回は大丈夫だ。
なぜなら…
「そうだなぁ、もう7時だしなぁ」
「もう塾に行かなくてはいけないですし…」
「もういいんじゃない?明日もできるんだし」
他の生徒会の奴らが味方についてるからな。
祥子以外はみんな帰りたがってたしな。
「うっ、わ、わかったわよ。じゃあ明日決めるわよ!」
ということでやっとの事で解散することに至ったわけなのだが結局、今日はなにがしたかったんだろう?
外に出ると、もうすぐ夏ということもあってか外の空気は暖かかった。
「ケーキ屋はまだ開いてるよな?」
そんなことを心配しつつ俺は生徒会の奴らを校門前で待っている。
祥子達がなにか渡したい物があるらしい。
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