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ケーキも食べ終わり食器を片付けながら飛鳥を見る。
もう泣き止んだようで今はいつもの笑顔だ。
「お兄ちゃ~ん、ゴートューザッへルぅ!」
飛鳥から突然、放たれる言葉。
はい、俺はなにかしましたか?
驚きのあまり持っていた皿を割ってしまった。
「ど、どうした、飛鳥?」
俺はお前にやましいことをしたこともないのに…
いや、確かに一緒にベッドで寝たり抱き着いたり、ほお擦りぐらいはしたけどさぁ!
やましいことも考えちゃったこともあったような気もするけど…
真っ先に地獄行きですか?
しかもお前の誕生日の日に?
「今日は飛鳥のために祝ってくれてありがとう!だからゴートューザッへルぅ!」
あぁ、俺に死ねと?
それが誕生日プレゼントってか?
いいだろう、お前のために死ねるなら本望だ。
「おっ、お兄ちゃん!なんで割れた皿を喉に突き付けてるの!?危ないよ!」
慌てて飛鳥は俺の手から皿の破片を振り落とすと抱き着いてきた。
飛鳥、ごめん。
地獄じゃなくて天国に行っちまったみたいだ。
「どうしたの、お兄ちゃん?飛鳥に感謝されるの嫌だった?」
いや、お前に感謝されて嫌がるわけなかろう。
むしろ喜びすぎて気絶しちまうぜ。
だが、あの言葉のどこに感謝の言葉が?
もしや…
「飛鳥、Go to the hellの意味は?」
「えっとね、言われた人が天国だと思うほど幸せな毎日を過ごせますようにって意味だよ!」
俺の体が硬直する。
やべぇ、英語の意味は違ったが嬉しい。
なにこの可愛すぎる生物。
抱きしめてぇ!
もう抱きしめてるけどな!
「苦しいよ、お兄ちゃん!」
「ああ、悪い悪い」
そう言いながら腕の力を緩めるが決して離さない。
「ところでそれは誰に聞いた?」
小学6年生の飛鳥が英語を習うわけがない。
塾とかに行ってるわけでもない。
だとしたら飛鳥の友達か俺の周りの奴しかいない。
飛鳥の友達は皆、優しいので除外して思い当たるのは俺の周りの奴ら。
そして飛鳥を知っているのは祥子、愁、遥と…
「愛お姉ちゃんにだよ!」
「…」
やっぱりか。
愛さんならやりかねないな。
もう飛鳥を愛さんに近づけさせないようにしよう。
そんなことする前になんで仕返しを考えないかって?
怖いからに決まってるじゃないか。
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