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「でも待っていたんだろ?」
「あぁ、待っていた」
「矛盾だらけな世界で?」
男性の手が、僕の顎を、這う。
あっさりとした、感覚。
──そして実際、
僕は。
「──矛盾だらけな世界でも、今こうして君と話せているじゃないか」
望んでいたことが、こうやって、
「結果さえよければ、矛盾だらけの経過は、意味なんて微塵もないさ」
手に入ったのなら。
それで。
「…傑作だね。その通りだ。」
男性は、僕の顎を這っていた手を頭へ持っていき、くしゃりと撫でた。
薄い唇はまだ続く。
「もう分かっているだろう?僕のことは。そして、君とどうするかも。」
──笑わせる。
何を考えているんだ、君は。
「本当にそんなことを聞いているのか?今の段階で?」
「もちろん。」
僕は立ち上がる。
その時、地面においていた僕がつけていた茶色の帽子も拾って。
黒髪が目の中に入る。
僕は茶色の帽子をかぶった。
「──君は趣味が悪いな」
「僕は君ですよ?」
僕は指を自分の顎へと這わせる。
「──知っている。」
どうやら僕の癖らしい。
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