本編

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―――…  結菜を失ったあの時から俺は、誕生日を心底憎むようになった。結菜のいない今日を憎み、降り続く雨を憎み、そして自分自身を憎んだ。 「…………」  花束の前で立ち尽くす。 供えられているのはいつもと同じく、結菜の大好きだったあの花。  この花を胸に抱き、幸せそうな微笑みを零していた結菜はもういない。  俺の誕生日を祝おうとしたばっかりに。 「結菜………」
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