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その時。
(バキッ)という小枝が折れる小気味良い音と、近付く者を凍り付かせる冷たい殺気を纏いながら少女は現われた。
「隠れても無駄ですよ」
………甘かった。男子トイレなら来ないって考えは甘すぎた様だ。
今度は、身の丈程もある巨大な鎌を持ってきやがった。
ヤバい。マジで殺される。
トイレのドアのベニヤ板なんか紙切れの様に切れていく。防御して………も無駄だな。
……だが、鎌の扱いに慣れていないのか、動きはかなり大振りだ。無論、避けるのは容易い。
覚悟を決め、少女の足が一瞬揺らいだ隙を突き、俺は少女の鎌を掴み、そして手の届かない所へと投げ飛ばした。
………のは良いんだけど、その拍子に鎌と一緒に付いてきた少女を、俺は運悪くバランスを崩し、押し倒してしまった。
「ひゃあ!?」
何の声だ?
(フニュ……ムニュ)
ん、何だこれ?何か手に柔らかぁぁいモノが………
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