序章

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元々母さんも出張の多い仕事をしていたけど、この結婚を期に内勤に移ったそうだ。 相変わらず父さんは忙しいけど、母さんと織姉と三人で留守を守りながら幸せな日々を過ごしていた。 そして、小学生になった時、一つの事件が起きた。 それは父さんの友達の結婚式に招待された後の事。 家に帰った俺達は、新郎新婦の誓いのキスの真似事をした。 ほんの些細な遊びのつもりだった。 しかし、それを見た両親が俺達を叱った。 「例え遊びでもそんな事しちゃいけないのよ!」 「そうだぞ!お前達は姉弟なんだからな!」 俺達は姉弟。 戯れでもこういう事をしてはいけない。 この時の両親の叱責が、後々まで俺達の心を縛る事になった。 しかし、それに反して俺達は少しずつ互いの性を意識する様になった。 今思えば、両親のした事は皮肉にも俺達をある方向へと導く事になってしまった訳だ。
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