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「え~っと……」
イマイチ何を要求されているのかわからない真也は首を傾げた。
「カサ」
「へ?」
「カサ」
「忘れたの?」
麻衣はコクッと頷いた。
「だから貸しなさい」
「でも…」
「ま、まぁ濡れて風邪でもひいて私のせいにされたらことだから……その……仕方ないから一緒でも我慢してあげるわ!だから早くカサを出しなさいよ!」
何故かほとんど息継ぎせずに、まるで畳み掛けるようにそう言った麻衣の顔は、真っ赤になっていた。
一方、真也の顔は少し青くなる。
「ごめん」
「何が?」
「ボクも傘……持ってなかったり……」
「…………」
麻衣が無表情になった。
真也は恐怖におののいた。
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