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「それで、断ったんだ」
「当然」
帰り道、下足室で一緒になった麻衣と真也は2人で下校していた。
何故か、真也がカバンを2つ持っている。
「しつこく食い下がってきたから、鳩尾に一発くらわしてやったけどね」
「またそんなことして……相手、ハンド部の小此木だったんでしょ?アイツ、いい噂聞かないよ?」
「だから?」
「大勢で仕返しとかされたらどうするの?」
「……真也は心配性ね」
麻衣はやれやれと首を振る。
「麻衣ちゃんは女の子じゃないか……心配だよ」
シュンとうなだれる真也。
そんな彼を麻衣は、少し頬を赤らめながら真也から自分のカバンを引ったくった。
「な、なら……真也が私を守ってみなさいよ」
「え?」
「ま、まぁ、私より弱い真也には無理よ無理」
「あのねぇ、ボクだって……」
「先帰るっ!」
「ちょっと麻衣ちゃん!?」
麻衣は全速力でその場から逃走した。
真也に「女の子なんだから」と言われたのが嬉しかったなど、口が裂けても言えない麻衣だった。
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