冬と受験と恋心

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灰色が広がる空、まだ11月に入ったばかりなのに雪でも降りそうな天気だ。 私は資料室の窓から外を眺めてため息をついた。 室内に響くのは、ヒーターの上に置いてあるヤカンのたてるカタカタという音と、紙の擦れる音だけ。 時刻は午後3時半。 本当なら今頃、先輩と「今日は寒いから手を繋いでマフラーを2人で使って帰りましょう」なんてラブラブ甘々な青春を謳歌しながら下校していたはハズなのに……   「うぅ……早く帰りたいです」   私はパイプ椅子に座って、ちゃちい長机に突っ伏しながら呟いた。 「そう思うなら手伝え」   横から不機嫌そうな声が返ってきた。 私は長机に頭を寝かせて目を向ける。 そこには大好きな、愛しい先輩が手に何枚もの書類を持って、眉間にシワを寄せて座っていた。   「俺だって早く帰りたいんだ。お前が手伝ってくれれば少しはマシになるんだがな、真帆?」   じろりとこっちを見る先輩。 ああ、そんな目つきも痺れちゃいます!   「でも恭介先輩。私なんだかもの凄ぉ~く、眠いんです」   言い終わるや否や大きな欠伸が出た。 むぅ、先輩の前なのにはしたない。   「夜更かしするからだ。いくらテスト前だからって、明け方まですることもないだろう」   「だって、テストで上位20位以内に入ったらなんでも言うこときいてやるって先輩が言うから……」   私は必死なんですよ~っだ。
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