-1*始まりの出会い-

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大きな森の、大きな切り株に一人の少年が腰かけている。 少年と呼ぶには少し大人びているが青年と呼ぶには幼い彼は、何かをするわけでも無く空を眺めている。 彼は長い金色の髪を一つに括り、右目に大きな眼帯をしている。 その眼帯に隠されていない左目は、晴れの日の様な澄み切った綺麗な青をしている。 しかし瞳に宿る光はどこかつまらなそうで、何かを求めている様に見える。 ピクッと、不意に少年の肩が振るえたかと思うと、勢い良く振り返る。 「……誰かいる?」 聞き心地よいテノールの声が誰もいないはずの森に吸い込まれる様に響く。  
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