悲しき人々

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ある男がいたんだ その男はある日一方的にとある哲学者に嫌悪を抱いたんだ だからその男は哲学者の著書を闇雲に否定するんだ 男の名はメグー・ロン 何の取り柄もない哀れな男だった 彼は否定することで自己を慰めている それ以外自己を見いだす方法がなかったんだ 哲学者はそれを知っていた だから哲学者は彼をシャットアウトしなかった けれどもかかわろうともしなかった 哲学者よ 哀れな彼に救いの手を差し伸べるべきではないのか 哲学者は言うのだ 私には苦悩の知しかない 私は苦しむために学問する だから悲しき人々に喜びの知を教えることはできない 私もまた悲しき人なのだ
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