第1章:入学

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「早く行こうぜ。入学式始まるぞ?」 ククッと笑って流男の背中をバンバン叩く。 「いてぇなー!ははっ」 この二人は周りから見ても仲のいいコンビだった。 「よっし、走んぞ!」 「おう!」 笑いながら走って、気付くと体育館の前に着いていた。 「ここだな」 「…?お前包帯は?」 「あ?…無い…」 ガックリと肩を落としてうなだれる流男に、真九守はこう言った。 「これ巻けよ」 「包帯…」 「お前のその目は血の様に紅い。その目を人が見れば、たちまち怯え、お前を悪く言うだろう。」 「だからもしもの時の為、俺も包帯を持っていたんだ。」 「真九守…」 少し涙が出た流男は、今度からはむやみに包帯を破かないようにしようと思ったらしい。
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