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竜太郎は黙って話しを真剣に聞き、ゆっくり頭を撫でた。
「……えっ?」
「あんまり……うまく撫でれないけど、頑張ったんだね鈴木さん」
「……やめてよ。私は見殺しにしたんだよ?」
「だから君の手であいつを捕まえたいのかい?」
「そうよ……私はそうしなきゃいけないのよ」
「君の気持ちはわかるけど、無理して危ない目にたくさんあって……本当は嫌じゃないかい?」
路地で馬鹿な不良達にレイプされかけた。
模倣犯に追っかけられたし、怪我だってたくさんした。
今まで美那香は誰にも胸の内の話しなんかしなかった。
「君は止めてもするだろうし、気がすむまで頑張ってもいいけどさ……一緒に僕もやっていいかな?」
「……正気なの?頭がおかしいただの小娘の戯言かもしれないんだよ?」
「けど、君は助けてくれたし、あいつは実際いたじゃないか」
美那香は席を立つと、竜太郎の隣に座り、抱きついて声を出しながら泣いた。
人前だというのも気にせず、大泣きした。
「あ、ははは……あの鈴木さん?」
周りからさっきからちらちらと視線を感じてたが、今はめちゃくちゃ凝視されていた。
「あの彼氏ちゃんと抱き締めてやんなよ」
「リア充めたってんだ早くキスでもしろ」
なんか変な声も聞こえてくるが、竜太郎は勇気を振り絞って、恐る恐るゆっくりだが、手を優しく握った。
「泣いたらすっきりしたしお腹すいた、竜太郎ご飯食べよ!!」
泣き止んだ美那香は元気いっぱいだった。
しかも何故か竜太郎を呼び捨てにしてるが、竜太郎事態はあまり気にしてなかった。
「とりあえず私はダブルチーズハンバーグセットと食後にチョコレートパフェ」
「僕はドリアでいいや」
「だめ!!同じの食べなきゃ。一緒に戦うんでしょ?」
という事でダブルチーズハンバーグセット二つと、パフェ一つを頼み、料理が来るまで美那香の質問責めが始まった。
「竜太郎は彼女いるの?」
「いやいない……」
「今まで一人も?」
「……うん」
「うぶなやつめ」
「……うるさいよ」
「あっ、私の事美那香って呼んでね?」
「えっ……鈴木さんじゃ……」
「だめ!!み・な・か!!!!」
「……はい」
「呼んでみて」
「……み、美那香さん?」
「……さんはいらないけど、頑張ったから許す」
美那香の顔は満面な笑顔になった。
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