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彼女の名前は鈴木美那佳。
私立高校に通う17歳、高校二年生だ。
その日は、夏休み前の期末試験も終わり、親友と久しぶりに街で遊んだ帰りだった。
時刻は夜の8時、アーケード街を歩きながら、家路を歩んでいた。
美那香は家の事情で一人暮らしをしてるが、親友の真理は家族と暮らしている以上、門限の9時迄に帰らなきゃならない。
少し遊び過ぎちゃったけど、これもまた青春だよ。
なんて二人笑っていると、電車の時間が迫っている事に気がついた。
二人は近道をするために、普段からあまり一通り少ない路地を通る事にしていた。
「…み~つけた……」
「ん?美那香なんかみつけたの?」
「えっ?真理なんか聞こえたの?私なんも言ってないよ?」
気味が悪くなった。
こんなカビ臭いよなとこ早く抜け出したくなり、歩くスピードを上げた時だった。
真理の背後の闇から手が伸びてきて、彼女を掴んだ。
真理が悲鳴を上げる前に口を押さえ、彼女は引っ張られる。
美那香は助けようとしたが、真理は闇に引きずられていく。
「いやぁ…美那香助けて……」
闇に慣れてきた美那香の目が捉えたのは、刃物を持ち真理に近づく男の姿だった。
汚れたロングコートの太った後ろ姿と、天辺が禿げ、脇だけボサボサに生えた髪。
そして、汚くメイクされ狂気のような顔になったピエロの顔だった。
男は真理の上に馬乗りになり、必死に抵抗する真理の首を右手でゆっくりと絞めていく。
抵抗する力が弱まっていく真理の顔がだんだんと青くなり、微かに口を動かし此方を見ている。
助けて、美那香。
美那香は恐怖で震える体をどうにか動かし、近くに落ちていた鉄パイプで、男の後頭部を殴りつける。
鈍い音と同時に、殴った感触が手に伝わってくる。
「ぎゃあぁぁ!!」
男が倒れ込んだ隙に、真理の手を掴むと、引きずりながら路地の出口に向かう。
真理の手がだんだん冷たくなるのを感じ、必死に話しかけるが反応がない。
「だれかぁ……だれか…………助けて!!!!」
「どうしました!?大丈夫ですか!!?」
「…お巡りさん……親友が……真理が……」
駆けつけた警察官が保護したとき、真理は亡くなっていた。
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