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次の日眼を覚ました僕は、枕元の日記を見て、今日が本当に昨日から続いた今日である事を確認した。もう世界が終わるのである。いや、世界は生まれ変わるだけ。終わるのは大多数の生き物と、取るにたらない僕。今日からは学校に行かなくてもいいだろう…そう思いもうひと眠りしようとしたが、まだ日常を変える禁忌に手は伸ばせなかった。君の選別も断りにくくなる。全てに動揺していない事と、ちょっとした希望なんかも見せなくてはいけない。
「おはよう」を言う時、いっその事大好きだよと言ってしまおうかと思った。そんな自分を認めながら罵って、紳士的なおはように感謝をした。君は性別を問わず人を魅了する自分に気付いているんだろう?僕のこの気持ちは恋愛ではない、恋愛ではないけど、心の底や口の中に収まる大きさではないと常々感じている。…と言えれば聞こえは良いのに。
破れていく気持ち。君に向かう気持ちの横に、ちょっとだけでも君に向かわない気持ちがあるだけで、僕の心は容易く君を傷付けようとする。それでも大好きだよと衝動的に言いたくなるのは、きっとキレイな自分を見付けて安心したいからだ。
君は目深に帽子を被り、僕のおはようには答えなかった。君が何か言おうとしてる空気に怯えて僕は走りだしそうだった。僕はある時期から、何があっても動揺しなかったつもりだ。だけど僕はある時期から、君の申し出を断った事が無かった。世界が終わる事なんかより君の方がよっぽど怖い。
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