ルリ子

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ルリ子

 小夜子の方は、午後まで大学の講義がない為、近くのコンビニエンスストアでアルバイトをしていた。ここは青龍学園と城北学院の中間点に位置し、青龍学園の生徒や教師もよく買い物に来る。 「ここでなら何か手がかりをつかめるかもしれない」  小夜子はそう思いながら、商品チェックの仕事をしていた。  と、そこへ、 「ゆかりが大けがしたって。しばらく学校に来れないってさ」 「どうしたの?」 「相原に必殺宙ぶらりんをやられたんだよ」  と青龍学園の制服姿の女子高生たちが、話をしながら入ってきた。 「必殺宙ぶらりんだって?」  小夜子はその話を聞き、もしやと彼女たちの様子を探ることにした。 「腰を下手に打ったら一生車椅子なのに。でもゆかりが仮にそういう風になっても、あいつは何とか隠そうと躍起になるだろうね。昨年の三月まではこんな事なかったのに」 「あいつがいる限り、この学校はめちゃめちゃだよ。私たちどうすればいいんだよ」 「おまけにスケベ根性丸出し…最低!」  女子高生たちはぶつぶつ怒りをぶちまけながら、自分たちの昼食を買うと、さっさと店を出て行ってしまった。 「ありがとうございました」  と小夜子はいつも通り笑顔を見せたが、彼女たちの代わりに自分が何とかしてあげたい気持ちになっていた。あすかのこともあるし、彼女がかわいがっている後輩のこともある、それほどまでにひどい事をする先生ならば、本来の目的とは少し違うかもしれないが、パープルシャドーとしての自分の力を使って、その先生を代わりに懲らしめてあげたいと。  小夜子はそっと仕事を離れると、誠の携帯電話の番号をプッシュした。  すると、二度発信音が鳴り、 「もしもし」  と誠が呼びかけてきた。 「あ、お父さん?私だけど、仕事中にごめんね」  小夜子はそう言って謝ると、 「今さっき、青龍学園の学生らしい女の子たちが、お昼のお弁当を買いに来たんだけど、何か昨日また体罰事件があったらしいの。夢ヶ丘署に連絡が入っているか、あるいはお父さんのところに情報が入っているか、急いで調べてくれる?」 と言った。誠は、 「よし、わかった。十分ほど待ってくれないか。すぐ聞いてみるから」  と言って電話を切った。
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