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同じ頃、かおりはいつものように学校の授業を受けていたが、心の中はいてもたってもいられなかった。友達を助けたい、悪い先生を懲らしめてやりたい、その思いがずっと頭の中にこびりついていた。そのせいで授業が中々手につかず、苦手な数学では大失敗してしまったため、かおりは余計にブルーになっていた。
「あーあ、早くお昼にならないかな」
ふとかおりがつぶやいた時、午前の授業の終了を知らせるチャイムが鳴った。かおりは外に出ると、自分の新しい携帯電話を取り出し、青龍学園に通う中学時代からの親友・神崎マコの携帯電話の番号をプッシュした。
三回呼び出し音が鳴った後
「もしもし」
とマコの声が入ってきた。
「あ、マコ?今話して大丈夫?」
かおりが聞くと、
「いいよ、どうしたの?」
とマコが聞き返してきた。
「あすかからメールが届いたんだけど、そっちの学校、今凄く大変なんだって?」
「ああ、相原の話ね。皆泣き寝入りさせられてるよ。あの男は学園長が用心棒代わりに連れてきた奴らしいんだけどさ」
「どういうこと?」
「学校の上層部の内部でクーデター騒ぎがあって、去年の三月に前の学園長がクビにされちゃったのよ。今の学園長の陰謀でね。この理由は前の学園長の娘でもあるエリカがよく知っているけどね」
「えっ!どうしたのよ。かなりややこしそうじゃない。後で近くのジャンヌで詳しい話聞かせてよ。もしかしたら、私のお父さんが力になれるかもしれないから」
「さやかと英二もつれてきていい?エリカも呼ぶから」
「いいよ。授業終わったら、また電話ちょうだい」
かおりが言った。
「わかった、じゃあね」
マコは電話を切った。
誠は相原の素性を探るべく、相原の自宅周辺の聞き込みに池袋署の刑事と合同で当たっていた。だが近所の人々は相原の事を、
「先生らしくまじめできちんとした人ですよ」
と異口同音に言うだけであった。
「ちくしょう、これじゃ全然らちがあかないぜ」
誠は自分の車に戻ると、携帯電話を出し、竜治の家にTELした
三回呼び出し音が鳴った後、
「もしもし、黒沢です」
と竜治の声が入ってきた。
「竜治、全然らちがあかないぜ」
誠がぼやいた。
「近所の聞き込みやっているんだけど、先生らしくまじめできちんとした人ですよという言葉ばっかりだよ。二重人格じゃああるまいし」
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