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「そんなにあせるなよ。俺が撮った写真の中に相原のものは必ずあるはず。それにあすかちゃんなら、相原の乗っている車がわかるかもしれないぞ」
竜治はなだめるように言った。
「そうか!それに車のナンバーさえわかれば、持ち主が誰かを調べられるしな」
誠は思い出したように言うと、
「後で家に来てくれないか。その時に写真をプリントして、持ってきてくれるといいんだけど。大丈夫か」
と続けた。
「わかった。じゃあとでそっちに行くよ」
「じゃあ、後でな」
竜治がOKし、誠は電話を切った。
その頃哲夫は青龍学園に取材を申し込んだ後、生徒たちに相原の事を尋ねていったが、返ってきた反応は、
「皆、あいつの体罰には泣かされっぱなしだよ」
「気に入らないことがあるとすぐ殴る。そのくせ自分の非は認めないんだぜ」
「あいつの体罰のせいで、一生車椅子生活しないといけなくなった友達がいるんだ」
「最低!教師失格!」
が主なものだった。
「これはやっぱり何かとんでもない裏がある」
そう思った哲夫は、頃合いをみはからって、
「ちょっときてくれないかな。時間は少しでいいから」
と生徒である少年の一人を呼び出し、裏庭に出た。そして、
「先生の体罰のせいで一生車椅子生活しないといけなくなった友達がいるって言っていたね。詳しい事を教えてくれないか」
と聞いた。すると、
「俺の友達が、その相原先生の『必殺宙ぶらりん』で背中と首を強く打って脊髄をやられちゃったんだ。それに彼は悪い事をしたわけじゃないのに、居残り特訓で疲れて倒れたのが気に入らないからと、それをやられたんだ」
と少年が言った。
「なんだって!」
「彼の親父たちがすっかり怒って、学校に損害賠償を求めるように法的手段を使おうとしたら、その為に今嫌がらせにあっているんだ。俺はあいつの仇を取りたい。相原の体罰のせいで、あいつは車椅子なしでは生活できない身体になっちゃったんだ」
「ひどいな」
それを聞いて哲夫は絶句するより他になかった。
「あいつと俺は幼なじみなんです。だから、あいつをあんな風にした相原を地獄送りにしてやりたいですよ。記者さん、俺の言ったことスクープにはしてもらえないだろうけど、早くこの学校の恐ろしい実態を公表して下さい」
少年は強い口調になりそうなのを抑えながら言った。
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