ルリ子

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「よし、わかった。何かあったらここに連絡してくれ。君の友達の仇もちゃんととってやるからな」  哲夫はそう言って自分の名刺を渡すと、 「俺に会った事を、しばらくの間友達には内緒にしてくれないか。約束出来るね」  と続け、少年と彼の幼なじみの名前、更にそれぞれの連絡先を尋ねた。  少年はうなずくとメモを取り出し、自分の名前と住所、電話番号を書くと、幼なじみの件に対しても同じようにした。  少年の名は菊地洸太、そして彼の幼なじみの名は風間裕一といった。洸太は、 「何かあったら携帯に連絡してください。お願いします」  と言って、一礼した後教室に戻っていった。  それからしばらくして、午後の授業のチャイムが鳴った。 「この問題、相当根が深そうだな」  哲夫はぽつりとつぶやいた。  その日の夜、小夜子の家には、誠、小夜子、かおり、哲夫が集まった。 「もう今日は、学校行っても気が気じゃなかったわ。帰りにマコたちに会って相原の事を聞いてみたけど、かなり評判悪そうだった。相原は学園長が用心棒代わりに連れてきた奴らしいんだけど、実は学校の上層部の内部でクーデター騒ぎがあって、去年の三月に前の学園長がクビにされちゃったらしいのよ。今の学園長の陰謀でね」 「ええっ、どういうこと?」  小夜子がすっとんきょうな声を上げた。 「これは、前の学園長の娘でもあるエリカちゃんという子から聞いたんだけど、今の学園長と前の学園長は、学園の経営方針や生徒の教育方針をめぐって、ずっとけんかしていたらしいの。それで今の学園長が前の学園長を陥れるためにある陰謀を企てて、自分でクーデターを仕掛けて前の学園長をクビに追いやっちゃったの。それで自分に反対する先生を抑えこむ為に相原を連れてきたんだけど、彼女のお父さん、ショックで倒れてしまって、身体は元気になったのに、鬱がひどくて今でも立ち直れないでいるんだって。エリカちゃんは、密かに今の学院長と相原の動きをスパイしながら、生徒たちの作ったレジスタンスのリーダーをしてるらしいけど」  かおりはマコたちから聞いた事情を詳しく説明した。 「ひどい話じゃない!生徒たちがかわいそうだわ。そういえばバイト先でも体罰事件の話は聞いたわ。女の子たちがしゃべってた」 「でも俺のところにはその通報はなかった。その上クーデターがらみとなると、かなりややこしい事になりそうだなぁ。まったく」
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