4人が本棚に入れています
本棚に追加
「一人だけいたな。生徒への体罰をやめさせようとした為に、大けがさせられたと言っていた先生が」
「えーっ!」
「本当なの?それ」
小夜子とかおりがびっくりして顔を見合わせる。
「その先生の連絡先はわかるの?」
かおりが聞くと、
「ああ、その先生の生徒にも、明日話を聞いてみるつもりだ。ちなみにこの前話題になっていたルリ子ちゃんだけどね」
と哲夫はうなずいて言った。
「どうやら、あすかちゃんの事件だけでなく青龍学園の内部の事を詳しく探ったほうがよさそうね。やっぱり」
小夜子は言った。
「まして、俺たちが動くまではこういう実態はわからなかったんだ。体罰事件が明るみになって色々なところから圧力をかけられるのを恐れて、学園長が何か役人と裏工作をしている事だってありえるぞ」
誠もそれに続いた。
「となると…賄賂が絡んでくる可能性は大きいな」
哲夫が一呼吸おいてから言った。
「うん」
小夜子がうなずく。
「よし、相原のことと並行して、学園長のことも調べてみよう」
誠が言った。竜治は、
「俺は、相原が学校を出た後の行動を探ってみるよ」
と言った。するとかおりが、
「それじゃ、私のいたずら大作戦も発動ね!」
と目をらんらんとさせて言った。
「本当はこんなことしたらお父さんに叱られちゃうけど、相原を罠にはめるにはこれよ!」
「おい、どうするんだ?」
誠が怪訝そうに聞くと、かおりは、
「いいからいいから。ちょっと待ってて!」
と言って自分の部屋に入っていった。そしてしばらくすると、
「じゃーん!」
とおどけて皆の前に現れた。
かおりは黒いスーツに身を包み、ブルーのマスカラとアイシャドウに真っ赤なルージュをつけ、ソバージュのウイッグをつけていた。
「かおり、ちょっと高校生にしてはやりすぎだぞ。まあ、きれいなのはきれいだけどな」
誠が苦笑いしながら言った。
「どうするのよ、まさかお色気作戦ってこと?」
小夜子が面食らったように聞くと、
「そのまさかよ!」
とかおりはニコニコしながら言った。
最初のコメントを投稿しよう!