4人が本棚に入れています
本棚に追加
「マコに聞いたら、相原は独身だって言ってたけど、美人にはすごく弱いんだって。それを逆手に取ってやろうというわけよ」
「なるほどね」
哲夫は感心したように言った。
「男ってものは、きれいな女性を見ると、ついついその美しさにはまってしまうものだからな。その女性が魔性を見せたら、力でねじ伏せようとするところがある。俺がかおりちゃんや青龍学園の皆から話を聞いた感じだと、相原は支配欲が強そうだと思うから、かおりちゃんのその作戦は、リスクもあるけど中々いいと思うよ」
「あら~、黒木さんがそんなこと言うなんて思わなかったわ」
かおりがちゃめっ気たっぷりに言った。
「よし、その作戦、俺も乗るぜ」
竜治がポンと手をたたいた。その時、
「お姉ちゃんにも手伝って欲しいことがあるの」
とかおりが思い出したように言った。
「何?」
小夜子が聞くと、
「あすかと一緒にホームページを作って、その中で黒木さんの聞いた話を出して欲しいの」
とかおりは答えた。
「いいわ」
小夜子はうなずいた。
「よし、誠、青龍学園についてのリサーチは任せろ」
哲夫が言った。
「じゃあ俺は、体罰で脊髄を損傷した子の両親と接触してみる」
誠はうなずいて言った。
次の日、誠は哲夫からもらったメモを頼りに、洸太の幼なじみである裕一の両親を訪ねに聖マリアンナ医大病院に向かった。
誠は深々と頭を下げた後、警察手帳を見せて挨拶し、
「私の友人が裕一くんのお友達から聞いたのですが、相原という先生に体罰を受けて裕一くんがこのようになったのはいつ頃ですか?」
と裕一の母・里美に聞いた。
「三ヶ月ほど前でしょうか…あの子は体育の授業の中で体操の練習で、友達と居残り特訓を課されていたんです。ただその時あの子は風邪気味で、無理がたたったのが元で練習の最中にダウンしてしまったんです。しかし相原先生はあの子を保健室に連れて行くどころか、倒れたのが気に入らないからと、あの子を体操の吊り輪に宙吊りにして竹刀でたたいていたんです。そのうちにあの子は吊り輪から滑り落ちて首をやられたんです」
「それが、『必殺宙ぶらりん』ですね」
最初のコメントを投稿しよう!