告発メール

3/9
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
かおりはショックでうつむいてしまった。 「ねぇかおり、黒木さんと竜治さんにもこの事話してみようか。あ、おじさんにもね」 「えっ?」  かおりが一瞬面食らった。と、その時、 「小夜子、かおり、ただいま」  と誠がミルフィーユのお土産を持って帰ってきた。 「お父さん、大変よ」 「どうしたんだ、かおり。そんなに慌てて」  慌ててリビングに戻るかおりに誠が聞くと、 「その理由はこれ」  と小夜子がメールをプリントアウトしたものを見せた。 「ん?あすかちゃんってかおりの同級生だったよな…え?学校を休んでる?なに?体罰事件のもみ消しだって!?」  誠はぶ然とした。 「普通だったらその当事者は、とっくにクビか何らかの処分をされているはずだよ」 「それなのに、なんか汚い手を使っているらしくって、みーんなもみ消されちゃっているんだって。ざけんなよ!って感じ」  かおりは怒りにまかせて言った。 「あすかは中学の時のクラスメイトで曲がったことが大嫌いなんだ。生徒会の役員にも選ばれたことあるし、部活の後輩たちのことを大切にするいい子なのに…。何があったかはあすかに会って話さないとわからないけど、あすかの学校で先公が裏でわるだくみしてるかもしれないよ」 「よし、至急哲ちゃんと竜治と兄さんを呼ぼう」 「うん、とりあえず黒木さんの携帯ね」  小夜子が言うと、誠はさっそく哲夫の携帯電話を呼び出した。 「もしもし、黒木です」  哲夫の低い声が受話器に入ってきた。 「哲ちゃんか、今どこにいる」 「今会社を出た。家に帰る途中だ」 「それならその前にこっちに来て欲しいんだ。詳しいことはは後で話すから、竜治と兄さんにも連絡してくれ」  誠が言うと、 「わかった。すぐに行くから、ちょっと待っていろ」  と哲夫が答えた。 「じゃ、後でな」  誠は電話を切った。 「確かあすかって、お姉ちゃんの通っている合気道の道場の後輩でもあるんだよね」 「うん、どうしたのかなあ。この頃稽古にも顔出さないし」
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!