4人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
かおりはショックでうつむいてしまった。
「ねぇかおり、黒木さんと竜治さんにもこの事話してみようか。あ、おじさんにもね」
「えっ?」
かおりが一瞬面食らった。と、その時、
「小夜子、かおり、ただいま」
と誠がミルフィーユのお土産を持って帰ってきた。
「お父さん、大変よ」
「どうしたんだ、かおり。そんなに慌てて」
慌ててリビングに戻るかおりに誠が聞くと、
「その理由はこれ」
と小夜子がメールをプリントアウトしたものを見せた。
「ん?あすかちゃんってかおりの同級生だったよな…え?学校を休んでる?なに?体罰事件のもみ消しだって!?」
誠はぶ然とした。
「普通だったらその当事者は、とっくにクビか何らかの処分をされているはずだよ」
「それなのに、なんか汚い手を使っているらしくって、みーんなもみ消されちゃっているんだって。ざけんなよ!って感じ」
かおりは怒りにまかせて言った。
「あすかは中学の時のクラスメイトで曲がったことが大嫌いなんだ。生徒会の役員にも選ばれたことあるし、部活の後輩たちのことを大切にするいい子なのに…。何があったかはあすかに会って話さないとわからないけど、あすかの学校で先公が裏でわるだくみしてるかもしれないよ」
「よし、至急哲ちゃんと竜治と兄さんを呼ぼう」
「うん、とりあえず黒木さんの携帯ね」
小夜子が言うと、誠はさっそく哲夫の携帯電話を呼び出した。
「もしもし、黒木です」
哲夫の低い声が受話器に入ってきた。
「哲ちゃんか、今どこにいる」
「今会社を出た。家に帰る途中だ」
「それならその前にこっちに来て欲しいんだ。詳しいことはは後で話すから、竜治と兄さんにも連絡してくれ」
誠が言うと、
「わかった。すぐに行くから、ちょっと待っていろ」
と哲夫が答えた。
「じゃ、後でな」
誠は電話を切った。
「確かあすかって、お姉ちゃんの通っている合気道の道場の後輩でもあるんだよね」
「うん、どうしたのかなあ。この頃稽古にも顔出さないし」
最初のコメントを投稿しよう!