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「メール見たけど、その様子だとずいぶんひどい目に遭ったのね。お姉ちゃんもしばらくあすかが稽古に来ないから気にしていたみたいよ」
かおりが優しく言った。
「ケガしたのは右腕と肋骨で右腕は複雑骨折よ。それにねんざもひどいし。おかげで半年以上稽古に行けなくなっちゃった。くやしい!昇段試験が近かったのに」
あすかは辛さをこらえるように言った。
「一体何があったの?」
小夜子が聞くと
「二ヶ月前に全日本の演武会があったじゃないですか。その時私がよく相手をしている後輩が、受身を取り損なって脳しんとうを起こして騒ぎになったの覚えてますか?、その後輩…その後相原に皆のいる前でボロクソに怒鳴られるわ、練習を通り越したしごきにあうわ、ひどいなんてもんじゃないんです」
とあすかは言った。
「なんて言われたの?」
「お前のせいで皆の和が乱れたとか、大事な演武会をぶち壊しにしたとか言いたい放題。あげくの果てには、お前の足じゃうまくなる見込みがないからさっさとやめちまえとか言ったんですよ」
「ひどーい。その先公本当にやる気あるの?、考えがおかしいよ!」
かおりは呆れるように言った。
「それで私、さすがに頭にきてそんなのひどいと言ったんです。そうしたらお前は部長なんだから、俺に逆らうならお前の身体で責任取ってもらうって皆の目の前で痛めつけられて…それで骨を折られて肘の関節まで痛めてしまったんです。彼女は少し身体に障害があるけど、自分のペースでよく頑張っているから、皆彼女の事を心配していたのに。相原はその前から彼女に嫌がらせしていたけど、まさかあんなことまで言うとは思わなかった」
あすかは次第に泣き声になった。
「そうだったのか。ひどい話だな」
それまで黙って話を聞いていた誠は絶句した。
「なんてこと!信じられないわ…許せない!」
小夜子も涙をこらえながら言った。
「彼女の名前は星川ルリ子。同級生で今は元気になって学校には来ているらしいけど、稽古には出ていないらしいの。私の事で責任感じたのかもしれないけど、相原にああいう事を言われて、すごく傷ついているかも」
「ひどい話ね」
かおりは怒りをこらえてつぶやいた。
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