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「えーっ!まさか…ばれたら大変じゃないのよ」
「まかしといてよ、お姉ちゃん。これなら絶対引っかかるから」
びっくりする小夜子をよそに、かおりは目をらんらんと輝かせた。
「何考えているんだ?もう」
誠は呆れるように言った。しかしその時、
「いや、かおりちゃんに任せたほうがいいかもしれないぞ」
と哲夫が言った。
「確か、小夜ちゃんとかおりちゃんの学校と、あすかちゃんの行っている青龍学園は、それほど距離が離れていないはずだ。かおりちゃん、中学時代の同級生で青龍学園に行った友達はいるかな?」
「えーと、あすかの他にはマコとさやかと英二がいるかな」
「よし、マコちゃんたちから学校の内情を聞きだしてくれ。頼むぞ」
哲夫はそう言って、かおりの肩をポンとたたいた。
「俺は、あすかちゃんから、告発状を預かる事にしたよ」
誠が言った。それを聞いて、
「俺たちも青龍学園の実態調べてみるぜ。なあ、哲ちゃん」
一郎が言った。竜治も、
「俺も手伝うぜ」
と言った。
「誠、この事俺のところでもニュースで出してみるよ」
哲夫はそう言ってから更に、
「小夜ちゃんと竜治には、相原の素性を調べて欲しいんだ」と言葉を続けた。竜治はそれを聞いて、
「黒木、ちょっと待てよ。ここまで青龍学園の体罰事件が明るみにならないなんて、何か変だぜ。もしかするととんでもない事になるかもしれないぞ」
「竜治、さては学園の上層部に何か疑惑ありと見たか」
「ああ」
「もし政治家や役人とつながっているとしたら、賄賂もあるかもね」
「うまくすれば、ダブルで悪事をたたけるな。誠」
「よーし、あすかが動けない分、私が大暴れしてやるんだから」
かおりが拳に力を込めて言った。
次の日、誠は仕事に向かう前にあすかと彼女の両親から警察宛とマスコミ宛の告発状と医者からの診断書を受け取り、職場についてからそれを東西新聞社宛にFAXした。
しばらくして誠の携帯電話が鳴り、
「もしもし」
と誠が出ると、
「誠か、俺だ。FAX受け取ったよ」
と哲夫の声が聞こえてきた。誠は、
「哲ちゃん、警察向けの告発状はマスコミに勝手に流すとややこしいことになるから、もう一通の方をFAXしたけれど、それを俊一に急いで見せろ。絶対この話は警察とマスコミで徹底的に追及しなくちゃいけないからな」
「誠、そっちはどうだ?」
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