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「今はまだ何とも言えないが、夢ヶ丘署にも捜査依頼はする。こっちは任せとけ!俺も出来るだけの事はするから」
「よし、わかった。じゃあ後で」
「よろしくな!」
誠はそう言って電話を切った。
その頃竜治は、一足早く青龍学園に向かい、職員玄関の近くで教師たちに見つからないように車を止めた。
「よし、そろそろチェックにかかるか」
竜治は車の中でデジタルカメラのチェックを済ませ、外に出ると教師一人一人の車の写真を撮っていった。オートバイで通勤している教師も数人いるようだったが、フロント、リア、サイドを取って、更にナンバーを控えていった。この方がより正確に持ち主をサーチ出来るからだ。
実は竜治は、学校が授業中の時間を狙って車を調べていったのであるが、この方がより関係者に見つかりにくいと判断していたのである。
やがて一通り写真を撮り終わると、竜治はデジタルカメラの画像を一つ一つチェックしていった。誠の方に資料としてデータを渡す時にチェックがしやすいようにする為である。もちろんこのデジタルカメラは、テレビとつなぐことも出来るのだが。
一方哲夫は、誠がFAXしたあすかと彼女の母親からの告発状を俊一に見せていたところだった。
「なんだって!」
俊一が文面を目にし、驚きの声を上げた。
「こんなひどいことがあっていいのか…。絶対に真相を突き止めなくちゃいけないな。哲ちゃん、すぐ青龍学園に行ってくれ」
「よし、行って来る」
哲夫は自分のバッグを取り出した。その時、
「赤川、ちょっと来てくれ」
と俊一が一人の男を呼んだ。
「デスク、告発状の件ですか?」
呼ばれた男が聞くと、
「青龍学園で体罰事件をひた隠しにしていたらしいんだが、哲ちゃんと一緒に生徒たちに話を聞いてきて欲しいんだ。頼むぞ」
「はい、じゃあ行って来ます!」
男はそう言って支度を始めた。哲夫は、
「輝彦、あわてて落し物するなよ!」
と男を冷やかして、社会部の部屋を出て行った。「あ、黒木さん、待ってくださいよぉ」
男は哲夫の後を追いかけるように社会部の部屋を飛び出した。この男の名前は赤川輝彦といい、哲夫が一番かわいがっている後輩だ。
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