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少年鑑別所で収監仲間から、互いに新たな犯罪手口を仕入れ合い、より悪辣になった上、わずか 2年で放免。街に戻って一年、18才で早くもあちこちの繁華街の年少たちの覇王として君臨していた。
王は手を汚さない。
彼らが刑法適用の年齢になった事を知っていたのも、卑劣な動機のひとつだが、手を下さないからこそ王なのだ。
あの日から25年。20世紀が終わっても、いまだに街の悪童たちから上がりを(本職に睨まれない程度に)せしめ、遊んで生きていたのだ。毎夜、他人からせしめた金で飯を喰らい酒を飲み、金で女を釣っては騙し、十分楽しんでから再たび金にする。
もし、藍毅が彼らを見つけなければ、法律も世界も、まだ彼らを赦し続けたことだろう。今までの経過から藍毅にとって、それは疑う余地のない事実だった。
運のツキ。
ヤツらにとっても、僕にとっても。ただ、ツキの意味がちょっと違うだけだ。
僕が気に病むことはない。
藍毅はもう一度、自分に言い聞かせ、一気にグラスをあおった。窓の外はまだ明るい紺色を保っている。
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