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ファミレスに向かう為、あたしのビストロちゃん(ポンコツの愛車)までカバオと歩いた。
カバオは歩幅を合わせて歩いてくれた。
互いに話す事と言ったら、学生時代の話やら仕事の反省会やらくらいだったが、
カバオと話すのは気を遣わなくてよくて楽だった。
ビストロちゃんの鍵を回した時、声をかけられた。
「なに今から飯?」
振り向くと、制服の法被(ハッピ)を綺麗にたたんで持っている人がいた。
『…えーと。』
「藤村先輩!!」
あぁそうそう。カバオの中学の先輩の藤村さんだ。
カバオに満面の笑み。
「俺も飯一緒にいくわ。家どうせないし。」
半ば無理やりに藤村さんも来るらしい。
あたしがたじろんでいると、ニコッと微笑んで手を引かれた。
「田村、お前原田の車乗ってついてこい。原田こっち。」
グイグイ手を引かれるのに少し動揺したが、照れ臭かった。
裕希の手じゃない大きな手。
長い指。
細長い白い腕。
『ビストロちゃん…。』
あたしの初日のビストロちゃんにカバオが乗り込んだ。
あたしは藤村さんにエスコートされ、助手席に座らされた。
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