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「和也、明日は、誕生日ね!みんなでパーティーしましょうね」
そうお母さんに伝えられたのは、昨日のことだった。
昨日は、俺の誕生日の一日前だった。
もちろん、誕生日っていうのは、子供にとっては、一大イベントで、俺はワクワクしながら、明日はまだか、明日はまだか、と待ちわびていた。
「ごめんねー、和也、お母さんたち、ちょっと大事な会議が入っちゃって……」
お母さんとお父さんは、同じ会社に勤めている。
そして同じプロジェクトで仕事をしている。
そして急に今日、大事な会議が入ってしまい、誕生日パーティーは延期になった。
でも、子供の俺には理解できなかった。
そんな会議の方が俺より大事なのかよ。俺は、そう憤った。
憤って、怒って、恨んで、泣いた。
俺は、親に愛されてないんだって思えて、すごく悲しくなってきた。
もう今日は、寝よう、そう思って、俺は部屋へと向かっていった。
そんな時だった。
ふいにノックがなった。
もしかしたら、お母さんやお父さんが思い直して帰ってきたのかもしれない。
俺は嬉しさを隠すために、ちょっとふてくされながら言った。
「もう……なんだよ?どちら様?」
するとちょっと機械っぽい声が聞こえてきた。
「名乗る程のものじゃないが、私のことは、みんな『ラフ・メイカー』と呼ぶ」
ラフ・メイカー?
「あんたに笑顔を持ってきた、寒いから入れてくれ」
笑顔を持ってきた?
冗談じゃない。
なんで、悲しいのに、笑顔になんかならなきゃいけないんだ。
それに『ラフ・メイカー』だって?
そんなもん呼んだ覚えはない。
「もう……俺に構うなよ!消えろよ!」
そうしなきゃ……思う存分に泣けないだろ。
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