刺し魔

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薄くなった髪は頭皮を野晒しになっている。脂ぎった顔、その大きな鼻のすぐとなりに大きなホクロがある。 そんなオッサンがニタニタと笑って俺を見ているのだ。 「ひゃあ」 俺は思わず情けない悲鳴をあげて尻餅をついてしまった。 慌てて個室からでると、そこにはさっきまでよじ登っていたオッサンが立っていた。 俺の腕を握るオッサン。 俺はオッサンの手を必死で振り払おう暴れる。 もう意味がわからなかった。 ただオッサンのむせかえるような汗の臭いだけが俺の脳みそを刺激した。 パニックになる俺の腕に何かを押しつけたオッサン。 同時に鋭い痛みが走った。 うっすらとにじみ出る俺の血液。 オッサンは光悦の表情で俺に何かを押しつけたのだ。 それはすぐに何かわかった。 それは画鋲。 オッサンは再び俺の腕を引っ張り寄せて、その画鋲を刺そうとした。 俺は反射的にオッサンを殴り飛ばしていた。 俺は細身ながらも喧嘩には自信があった。それなりにやんちゃをしたし、喧嘩ではそれなりの結果を残してきたからだ。 だから、俺が半泣きになって教室に駆け込んだとき、教室のみんなはとても驚いていた。
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