もう一つの幼馴染

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「じゃあ、さっさと着替えちゃいなよ~」 「わかったって言ってるじゃないですかぁ~」 俺はドアを入ってすぐ左にある大きい服立てから自分の仕事服と帽子を探し、引き出すとまず帽子を被った。 その後にハンガーから服を外し、変わりに自分の上着を服にかけて元通りに服立てに戻した。 「あと1分~ 翔早くしなさ~い」 「分かってるって、てかお前仕事の時くらいバンダナ外せよな!」 「ムリムリ~! これだけは何があっても外せないんだねえ~」 「まぁいいや、先にお前だけ行って代わって来なさいよ!」 「はいはい、翔も早く来なさいよ~」 「了解」 真利奈は先に事務室から出ていった。 俺も携帯の電源を切って身支度を済ませ、事務室から出る。 事務所を出ると、先の二人が仕事を終えて入れ代わりになった。 「翔、加藤! 頑張ってやれよ! 困ったらすぐ連絡しろ!」 「分かりました」 二人は事務室に戻り、俺と真利奈がレジに着いた。 客はまだあまり来てない様子で、雑誌広場で一人本を読んでいただけだった。 これなら案外懸念しなくても大丈夫だろう。 「んじゃ私がレジやってやるからさ、品物の陳列を確認してきてくんないかなぁ?」 「俺がですか? しかたないな…… ちゃんとやれよ!」 「任されました!」 ピッと真利奈が敬礼する。 俺は確認するとレジの所から出て、品物の前だしをしにいく。 前だしはただ品物を前の方に寄せるだけなので簡単な仕事だ。 俺は弁当、デザート、ドリンクコーナーと順に見て周って、お菓子コーナーに移った。 その時、店にもの凄くガラが悪そうな中年男が入って来た。 お菓子コーナーからでもそれは一目でわかった。 俺は屈みながら前だしをしてその様子を見ていた。 「マルをボックスで」 「分かりました」 普通にタバコを買いに来ただけか、マルのボックスは赤色のマルボロと書かれた箱のやつだ。 「こちらでよろしかったですか?」 「ちげえよ、それマルメンじゃねーか! そこの赤色の方だって!」 「すみません…… すぐに取り替えます……」 慣れないうちはタバコの種類をよく間違える…… 俺も自信はあまりない。 まあ次ちゃんと持ってこれば何事もないはずだ。 「こちらですか?」 「それはソフトのほーだろうが! お前何回言えば分かるんだよ! ああっ!?」
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