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俺は出来事の全てを二人に話した。
「ていうことがありまして……」
「店員の立場だと我慢しなくちゃいけないけどね……
あの男には腹立つわね!」
「確かに納得はいかないな!
翔!
俺がバイト代わっててやるから、真利奈を探して連れてこい!」
「俺ですか……?
でも先輩一人じゃ」
「私も真利奈ちゃんの代わりにやるから、安心してさっさと行きなさい」
「すみません。
いつか俺が代わりにバイト入ります!」
「その言葉忘れるなよ~!
んじゃ行ってこい!」
「ちゃんと連れて帰ってくるのよ!」
「分かりました!」
俺はレジテーブルの上に落ちた緑のバンダナを掴み、入口側から店内から出てった。
外に出るとまだ明るかった。
今日の勤務は夕方4時から7時。
それまでに見つけなければ……!
俺はコンビニの制服を着たまま、自転車に跨がり走らした。
「どこにいきゃいいんだよ。
あの馬鹿……」
俺はあてもなく道をさ迷った。
真利奈が行きそうなところはどこだ?
カラオケか?
あいつはそこまでカラオケ好きじゃない。
それに来た時に真利奈の自転車がなかった。
てことは走っていったに違いない!
ならここから遠くはない。
考えろ翔!
二人に説明してた時間はそこまで長くない!
ならまだ自転車で行ける距離だ!
その時俺の脳内に電気が走ったのを覚えている。
あそこだ!
時間と距離から考えた上にあいつが好む場所は……
公園だ!
昔よくあいつと遊んでた場所だ!
俺の自転車はその公園へと向かっていた。
家からコンビニまでの道を逆走していく。
すると道は田舎道へと姿を変える。
さっきまで居た世界と別世界のように田畑などの空間が広がる。
その自然に溶け込むかのように、公園はある。
公園と言っても、ブランコと滑り台しかないが、俺達はよくここを使っていた。
公園を囲む緑のフェンスが途切れる場所の入口に自転車を止める。
遠くから人影があるのが分かっていたが、近づくと真利奈だということを理解した。
「真利奈!」
俺は自転車の側から走り、公園奥で抜け殻のようにブランコを小さく揺らす真利奈に近づく。
「何しに来たの……?」
「何しにって、連れ戻しにきた」
「あっち行って!
見ないで!」
真利奈は額を両手で隠したまま、涙を浮かべ言う。
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