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お母さんはまだお家に帰っていなかった。 一緒に行かなくて本当に良かったと思いながらよそ行きの服を着替え、キッチンで紅茶を作った。 私が小学生だってこれくらいはできる。 二つのマグカップに紅茶をいれてお姉ちゃんの部屋を足でノックしたらドアが開いてしまった。 「お姉ちゃん?」 そっとのぞくとお姉ちゃんはベッドに座ってさっきまで着ていた制服をながめていた。 「お姉ちゃん、はい。」 私がカップをさしだすとお姉ちゃんははじめて気がついたように目をぱちぱちさせてから受け取った。 「いい匂い、気が利くね結衣」 「えへへ」 二人で静かに紅茶をすする。私はお姉ちゃんの横に座って制服を見つめた。 「私もいつかあれが着れるかな?」 「うん?今よりもっと勉強を頑張ったらね。」 「いじわる」 私は口をとがらせながらお姉ちゃんを横からにらんだ。 お姉ちゃんはなんだかぼんやりしていて、はりあいがない。
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