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「これ、なあに?」 私はお姉ちゃんの手元にあった黒い筒を手にとった。 「ん?これは卒業証書」 「そつぎょうしょうしょ?」 首をかしげながふってみるとカラカラいっている。お姉ちゃんは筒のフタをポンっとはずして紙をひっぱりだした。一緒に小さくてかたいものがころがりでてきた。 「ボタンだ。これもそつぎょうしょうしょ?」 お姉ちゃんはフフっと笑いながら首をふった。 「卒業するときには好きな人から制服の第2ボタンをもらうのよ。」 私はお姉ちゃんが建物のうらで何かをわたされていたのを思い出した。 「お姉ちゃん、好きな人がいたんだ。お姉ちゃんもボタンあげたの?」 お姉ちゃんは笑った。 「お姉ちゃんね、今日頑張ってその人に告白したの。」 「こくはく?」 「好きですよって伝えたの。でも相手の人はお姉ちゃんのこと、友達としか見られないって」 友達としかってなんだかよくわからない。でもそれでお姉ちゃんは悲しそうな顔になっていたんだと思うと私まで悲しくなってきた。
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